なぜ敷地いっぱいに家を建てないのか。余白が暮らしを豊かにする。
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福岡県大川市の中木室モデルハウスには、主屋と同じ色で仕上げた木造の小屋があります。一見すると収納のためだけの建物に見えるかもしれません。ただ、関家具工務店の事業部長・石井さんは、小屋を「物置の代替」で終わらせない考えを持っています。
土地も家の一部として使い切ること、金属製の既製品とは違う天然木の空間で人が過ごせる余白をつくること。本稿では、関家具工務店が小屋を提案する意図と天然木で建てる理由、そして実際の使い方について伺いました。
家づくりでは建物に目が向きがちです。でも石井さんは、敷地そのものも「家」だと話します。せっかく手に入れた土地を余すことなく使うために。庭の寄りどころとして小屋を建てることで、土地の使い方が具体的になると言います。
石井さん 「一番は敷地の捉え方、要は土地自体も家なんですよね。どうしても皆さん、建物のほうに目が行きがちなんですけど、せっかく手に入れた土地ですから、余すことなく使ってもらいたい。
土地を使うと言っても、何もない庭の端っこにボーッと立っていても、それは有効利用とは言えなくて。その寄りどころとして小屋を建てることで、まずは主屋の収納力不足を解決する手段になります。逆を言えば、屋外で使うものを屋外に収納することで、その分主屋を小さくできますからね。
そして収納だけではなくて、趣味の道具を手入れする場所にしたり、庭作業での休憩場所にしたりと、庭に小屋があるだけで使い方は無限大になっていくんですね」
収納、趣味の場所。さらに石井さんが実感しているのは、主屋に家族やペットがいて、ふいに訪れた友人を気軽に上げられない場面での使い方です。
石井さん 「僕がいいなぁと感じているのは、ふいに来客があったときに、主屋には他の家族やペットがいたりして、簡単に主屋に招けない時に、迎賓館的な使い方で、『じゃあ小屋で話そうか』みたいな、そういう使い方もできるところですね」
庭に小屋、と聞くと大手メーカーの金属・鋼板の物置を思い浮かべる方も多いと思います。関家具工務店が木造の小屋を建てることにこだわるのは、収納するものへの影響と、それだけにとどまらない使い方を提案したいからです。
石井さん 「小屋というと、大手メーカーの金属・鋼板でできた物置を思い浮かべる方が多いんですけど、こうやって木造で建てることには理由があって。天然木を構造材に使う理由は主屋も同じなんですが、その調湿効果です。物をしまうだけなのに調湿効果っているの?と思う方もいるかもしれませんが、物にとってもその環境はやっぱり良くなくて、湿度の高いところでは鉄は錆びるし、プラスチック製品は加水分解を起こしてボロボロになります。だから自然の力で勝手に調湿してくれる天然木にこだわっています。というのがまず一つ。
その上で収納だけじゃないよ、人間もそこで楽しめるんだよ、というのを提案したくて。
一つは敷地を余すことなく使いたい。もう一つは、主屋だけではできないような暮らし方をしてもらいたい。そういう思いがありますね」

設計の事例を聞くと、小屋の使い方は想像以上に多様です。夫婦そろって漫画が好きでも、まだ幼い我が子の前では読みたくない。そのために小屋を建てたケースもあります。
石井さん 「夫婦揃って漫画が好きなんだけれども、子どもの前で漫画を読んでいる姿は見せたくない。それで、夫婦がそれぞれ存分に漫画が読める場所をということで小屋を建てたこともありますね」
そして無趣味だった方が、家を建てるのを機にライフワークを見つけたいと薪ストーブを導入し、薪づくりと道具の収納、できた薪を眺める場所として小屋を位置づけた例もあります。
石井さん 「できた薪を1時間くらい眺めていても全然飽きないんですよね。ただ単に庭の端っこに薪が積んであって、それを立ってボーッと見ていたら、これこそ変な人なんで。だったら小屋の中で休憩しながら、自分が作った薪を眺めるとか、そういうふうにしたい、というお施主様もいらっしゃいました」
他にもご主人の希望で建てた小屋が、実際には奥様の園芸道具の収納や、寄せ植えの準備をする場所になったケースもあります。ご主人が使うのは畳一枚分ほどで、小屋の大半を奥様が活用しているそうです。使う人によって役割を変える小屋は、まさに大人の秘密基地のような場所です。



最初は「収納がとにかく欲しい」と棚を充実させ、いったん満足するお施主様もいます。ただ、庭に小屋があると庭へ出る時間が増え、テーブルと椅子を持ち込んでお茶をする。すると次は収納物を減らせないか工夫が始まるといいます。
石井さん 「引渡し後に定期点検などで訪問すると、面白いことに最初は収納メインで考えられていたお施主様も、どうにかしてこの収納しているものを減らせないか工夫されています。優先順位を決めて、必要なものだけを残して、空いたスペースが今度は小屋で過ごすための快適なスペースに変わっていく。いつの間にか別宅のような、そんな使い方をされているお施主様は多いですね」
小屋は収納のためだけの設備ではありません。土地を使い、趣味を育て、家族の距離感を調整する「寄りどころ」です。関家具工務店は、主屋だけでは実現できない過ごし方を支える空間として、小屋のある暮らしを提案しています。
収納にとどまらない、暮らしに彩を添える小屋の可能性を、中木室モデルハウスで体感してみてください。

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